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基本的には自分の思考を整理する場として。

【EdTech記事翻訳】高等教育の変革を阻む、5つの見えない障壁

テクニカルタームに慣れたい

教育学について、これからも見識を深めていきたい。プログラミングでもなんでもそうだが、文献をあたるうえで、言語の壁というものは大きい。日本語だけに絞っている時点で、触れることのできる情報は制限される。

英語の文献に抵抗なくあたれるような基礎能力くらいは、身につけておきたいと思うのである。そこで、信頼しているEdTechメディアEdSurgeから、気になった記事を引用し、翻訳していこうと思う。

今回は​5 Invisible Barriers Preventing Change in Higher Edから。高等教育こそ、より広いコンテンツに触れる意味でのedTech導入が有効だとは思うのだが、そこに大学という枠が必要なのかは疑問が残るところである。ただしある程度の強制力(キャンパスがあって、カリキュラムがあって、単位をとらなくてはならないといったような)や、同じカリキュラムを学ぶもの同士で育まれる人間関係などのようなものは、確かに人生にとっては必要なのだろうが。

誤訳などがあれば、ぜひご指摘いただきたい。

高等教育の変革を阻む、5つの見えない障壁

こと高等教育の問題となると、誰もが口を挟みたくなるものだ。しかし、はっきりしたことはあまり知らないのではないだろうか。テキストや学費が非常に高い割に、学生の参加率が低いこと、学生は学習の手段を選びたいと思っていること。加えて、まだ指導要領には組み込まれていない新しい能力指標があるということ。

同時に、テクノロジーにはこれら多くの問題を改善する余地があるということもわかっている。しかし、改善に懐疑的な勢力がいることも事実だ。

これらの問題は、組織による見えざる障壁によって引き起こされている。教授が変更を嫌がったり、同僚と効果的なやりとりをするためにキャンパスにいなくてはならないという思い込みがあったりする。テクノロジーによって教授たちの考えや行動や、同僚たちとの関わり方が変わる。テクノロジーによって、教授たちの、–組織の中や、それを内包するより大きなエコシステムの中における–役割がわかりにくくなる。これら見えない障壁は、指針や行動、報告体系、役職、その他職場における様々な要素によって、まとまりさらに強くなる。もっとも大事なことは、これらの障壁によって我々は変革から遠ざかっているということだ。

魚が水の存在を意識しないように、我々は組織による障壁やそれがシステム全体に与える影響に気づいていない。認知することがまず、それを打ち破るための第一歩だろう。

以下に、高等教育における変革を阻んでいる、5つの組織的な障壁を紹介する。

1. 小さくまとまる文化

ヒューストン大学で感情学の研究を行うBene Brownは、イノベーションが起こるためにはどこか不完全な箇所が必要だということを発見した。変化を起こすためには、慣れない場所に踏み入り、積極的に失敗する必要がある。変革は成長の過程であり、成長には失敗がつきものである。しかし高等教育の分野で失敗を起こすと、自分の汚れた下着を他人に見せるような、バツの悪い気分になる。

高等教育機関は一般的に、私が形容するところの「小さくまとまる文化」をもっている。この言葉の意味するところは、リスクをとることを避ける慣習があり、その風潮が日々強化されているような環境であるということだ。一方で「大きく広げる文化」では失敗が許容され、何かに至る過程で挑戦することが賞賛される。たとえその挑戦が失敗だったとしても。

不完全な箇所があるとき、我々は内にこもってしまいがちだ。学習管理システムや学術誌の有料会員限定コンテンツ、独占テキストへの依存などが、その障壁の証拠である。

2. 現場の認識

このデジタル時代において、現場が効率的に教育を行うための支援施策に対して、複雑な事情が絡み合っているだなんて信じられないかもしれない。あなたが現場支援に携わっているのなら、それは組織の変革を牽引する重要な役目を担っているということになる。実際、我々が支援している現場は、技術導入プロセスのうちどの段階にも位置している。すなわち、技術導入に前向きな層から、懐疑的な層まで。悲しいかな、我々は現場においてこの懐疑派の割合を多く見積もってしまいがちなのだ。こんな言葉を聞いたことがあるだろう「現場は変わりたくないだけなんだよ」。このような見方をすることで、盲目的になってしまう。反対派に注意を向けてしまうことで、素晴らしいアイディアや新しい実践例を見逃してしまう。どんな現場にも、ビジョンを持った人やアーリーアダプターがいる。彼らの話、革新的な取り組み、失敗、生徒の声に耳を傾けることで、懐疑派たちの気持ちもポジティブな方向へむかっていく。変わりたくない人にばかり目を向けるのはやめて、イノベーターに注目していこう。

3. ITを積極的に導入する

webは、教育に革命を起こす力を持っている。そしてwebによって社会をどう変えていくかについては、高等教育が寄与すべき部分も多い。ITを導入すれば、その議論に対して貴重な見地を与えることができる。しかし、高等教育においてITを使いこなす力の育成は主流ではない。この現状を変えたいとは思わないか。関係者を招集し、要職に登用した。

ミシガン州立大学の学部長であるChristopher P.Longは、ITを積極的に導入することについて、独自の見方をする。公立大学に勤めている以上、学問上のアイディアをweb上で公開することは、もはや自分の義務だと思っていた。

大学名義のプロジェクトについて彼が書いた長いブログのおかげで、教職員や学生たちは、web上で自分の存在をアピールできることを知った。もっと多くの理事や学部の人間がLongのようなことをしていたら、ITを積極的に導入することに対する認知が変わっていたかもしれない。

4. 機器の導入プロセス

高等教育において最新技術の導入は時間がかかるものだが、すでに主流となった教授ツールがある。学習管理システム(LMS)だ。しかし、LMSは Canvas(グラフィックソフト)やBlackboard(教育支援システム)、Moodele(教育管理ソフト)と同じで、クローゼットのようなものだ。すなわち、内容物を大切にしまっておくという目的において有効なものなのだ。効果的なやりとりを促進したり、確度の高い評価をしたりするのには役立たない。だから多くの現場では、学生のオンライン学習や学部横断型学習を促進するために、民間のツールを使うようになってきている。

この草の根活動の熱が徐々に伝わることで、現場における従来的な上意下達のプロセスに、変革が起ころうとしている。組織全体の判断というのは大学の文化の中心で行われるものだが、パートタイムの教員はその文化に馴染んでいないことがある。いまや多くの授業がパートタイムの教員によって行われているなか、これは問題である。アーリーアダプターたちが築いてきた実践事例は有効利用されていない。テクノロジーを導入し教育学をより良いものにするためにも、我々は先達が残した事例を利用していくべきだ。

教授や学習のためのツールは、草の根レベルから導入されていくべきだ。ここでいう草の根レベルとは、教授が教え、学生が学ぶ場のことである。学生の学びを促進するツールを導入したいのであれば、効果的だった実践例を見つけてきて、それを導入するための水先案内を行い、ツールの導入自体は学生にさせるとよい。

5. 時と場所

モバイル時代である昨今、伝統的な職場風景は変わりつつある。2013年から2014年の間に、アメリカの労働人口は1.9%増加したが、一方で在宅勤務者は5.6%増えた。労働者は移動可能になり、雇用者側は労働者を雇用し続けるために、職場環境について考え直さなければならなくなった。

他方で高等教育においては、職場環境はそれほど大きく変わっていない。確かにオンラインクラスで教える機会は増えたが、会議や職能開発のためにキャンパスにいなければならないという状況はほとんど変わっていない。2014年の調査によれば、調査対象のうち90%の組織で、オンラインクラスを教えるためであってもキャンパスにいることが求められていた。さらに、教授のうちたった5分の1しか、テニュア保持者がいなかった。すなわち多くの教授は複数の職場をかけもちしているのだ。手短に言えば、高等教育に携わる労働者の多様化をはかるうえで、時間と場所の問題が非常に大きな障壁として横たわっている。

教授たちは、学習の質と機会を向上させるために、テクノロジーを導入して、学生と対面する時間をもっている。私の大学にいる教授たちは、これをどんどん推し進めて、キャンパスという職場にこだわらなくてよい風潮を作っていってほしい。それが、時間や場所という制限を取り払い、高等教育に携わる労働者の多様性拡大につながるのだ。

これら5つの障壁についてどう思うだろうか。あなたの職場で思い当たる節はあるだろうか。